小説ブログ-リミット

愛報高校戦、決着|リミット70話

愛報(あいほう)高校との夏の県予選三回戦も、残すところ九回の裏のみ。五回以降、キャッチャーの愛理(あいり)と愛報高校の前にゼロに抑えられた西島高校は、最後の攻撃となった。 スコアは9対8。一点を追う西島(せいとう)高校の先頭は、九番の一奥(いちお…

愛報高校の限界は俺が超える|リミット69話

ベンチへ戻る遠矢(とうや)は、小山田(おやまだ)が空振り三振した球を思い出した。 (そうだ……。あの時僕はなぜ加速に気づかなかったんだ。いくら愛理(あいり)さんでも、これはありえなすぎる。ここまで考えが及ばなければ、今の打席は勝てなかったのか……) そ…

八回の攻防|リミット68話

西島(さいとう)ナインが守備につき、一番長谷川(はせがわ)から始まる八回表が始まった。スコアは8対5。西島高校3点のリードとはいえ、試合の流れは完全に愛報(あいほう)高校へと傾きつつあった。 そして、一番の長谷川が打席に立つ。 「今の俺たちは誰に…

ダブルリミッターを超えろ|リミット67話

愛理(あいり)のホームランに、キャッチャーの遠矢(とうや)は驚いていた。 (愛理さんがここでホームランを?なぜ……) 当初、愛報(あいほう)高校の狙いは八回での満塁ホームランだった。リバースリミットをより完璧にする為の準備を、一番長谷川(はせがわ)・二…

ダブルリミット|リミット66話

五回裏、ワンアウト満塁。打席に立った白城(しらき)を見たキャッチャーの愛理(あいり)は、ただならぬ威圧感を感じていた。 (前の打席とは、白城君の雰囲気が全く違う……これは一体……?) 投げようとしないピッチャー望月(もちづき)の姿に違和感を感じた白城は…

くのいちクロス|リミット65話

先頭の九番バッターを抑えた西島(せいとう)バッテリーは、一番の長谷川(はせがわ)を打席に迎える。 初球、遠矢(とうや)はインハイのフォークから入った。ストライクを奪ったが、この瞬間遠矢は違和感を持った。 (長谷川さんに打つ気がない?) 二球目。遠矢の…

白城VS愛理、第二ラウンド|リミット64話

三回裏、西島(せいとう)の攻撃は一番の要(かなめ)から三番の白城(しらき)へと回る。満塁ホームランでリバースリミットを発動した愛理(あいり)の守備は、ここから一変する。 それをよく知る要の構えは、少し固かった。 (ドキドキだね……) そんな要の姿を、キャ…

炸裂!リバースリミット|リミット63話

三振した一奥は、プロテクターを着ける遠矢(とうや)の下へ真っ直ぐ走ってきた。 「遠矢!全然当たらないぞ?」「簡単には行かないよ。僕らだって同じ事してるしね。行くよ!一奥」 「同じ事……?まぁ、そうだな」 二回の攻防が終わり、西島(せいとう)ナインが…

限界NOリード|リミット62話

一回裏、白城(しらき)の先制スリーランが飛び出した西島(せいとう)高校。続くノーアウトで打席に向かうのは、四番の杉浦(すぎうら)。 だがインコースが得意な杉浦には、アウトコースしか来ないキャッチャー愛理(あいり)のリードはキツかった。杉浦は追い込ま…

三回戦、第二シード愛報高校戦開幕|リミット61話

両チームのノックが終了。グラウンド整備が行われる中、ベンチに座る一奥(いちおく)と遠矢(とうや)はブルペンで投球練習をする愛報(あいほう)高校先発の間口(まぐち)を見ていた。 「どうだ?遠矢。問題なさそうだな?」「そうだね。間口さんには、早めに降り…

スポーツ新聞事件|リミット60話

第二シード、愛報(あいほう)高校との三回戦当日の朝を迎えた。西島(せいとう)グラウンドへ来た一奥(いちおく)と遠矢(とうや)は、一塁ベンチで新聞紙を顔にかけて寝ている男を発見する。 「遠矢、あれって斜坂だよな?何してんだ?あいつは」「アハハ、朝が早…

お礼と証明書|リミット59話

「次、白城(しらき)!オッケー。次、要(かなめ)」 紀香(のりか)監督ノックを眺め、フェンス際をランニングしている一奥(いちおく)がレフトの白城(しらき)に話しかけた。 「なぁ白城。な~んか監督、急にグラウンドへ出てくるようになったな」「そうか、お前…

二回戦決着|リミット58話

九回の裏、得点は4対2。 仟要(カシカナ)コールが鳴り響く中、要(かなめ)が左バッターボックスに立った。 水衣(みずい)高校ピッチャーの森泉(もりいずみ)は、ピース斜坂(ななさか)の右肩上がりブログで二人の事は知っていた。 (まさか女子選手の出場がここ…

デスパイアリミッター|リミット57話

左バッターボックスに入った森泉(もりいずみ)は、やはり左肩にバットを乗せていた。ベンチの自信とは裏腹に、キャッチャーの村石(むらいし)は参っていた。 (こいつも打つ気がない……ように見えるだけなのかよ……どうする?何を投げても打たれる気しかしねぇ……)…

森泉のリミット|リミット56話

ベンチへ戻ってきた白城(しらき)が周りを見渡す。 「一奥(アホおく)はいねぇのか。どこいきやがったんだ」「いいじゃねぇか白城。打って打って打ちまくればいいだけだ!ガハハ」 杉浦(すぎうら)が応えると、神山(かみやま)続いた。 「杉浦の言う通りだ。一奥…

二回戦開始とあの日の苦痛|リミット55話

二回戦当日を迎えた西島(せいとう)高校の選手たちは、この試合の勝者が三回戦の相手となる試合をスタンドで見ていた。 「おい遠矢(とうや)、一奥(いちおく)はどうした?」 キャプテンの神山(かみやま)が、スタンドを見渡しながら遠矢に聞く。 「いませんねぇ…

一回戦棚谷高校|リミット54話

「神山(かみやま)さん、出来ました」 仟(かしら)がメンバー表を書き終えると、神山はチェックして遠矢(とうや)に渡そうとする。 「遠矢、これでいいな?」「僕が見るまでもないですよ。仟が選んでますから」 「そうか、わかった。先攻後攻はどうする?」「ど…

選ばれた野球バカたち|リミット53話

「監督!」 時は大会3日前。仟(かしら)は練習前の職員室にいた。 「仟、静かに」 感情的になった仟を紀香(のりか)監督がなだめる。仟は職員室を見渡して注目を浴びた事を知り、ほほを赤らめた。 「すみません……でも、説明して下さい!私は納得出来ません」 …

ゲーセンリベンジ|リミット52話

次の日の放課後、一奥(いちおく)、白城(しらき)、遠矢(とうや)、要(かなめ)の4人は、一時間ほど電車に乗って駅前のゲームセンターへと行った。 駅に着くと、白城が「こっちだ」と言い、3人はついていく。 大型デパートのワンフロアーがゲームセンターとな…

それぞれの限界と決意|リミット51話

7月某日。 放課後の西島(せいとう)グラウンドは、いつものように活気に溢れていた。マウンドには一奥(いちおく)、バッターボックスには白城(しらき)が立っていた。 「一奥!もう一打席だ」「なぁ白城。気合い入ってんのはわかるけどさ、後ろで怖いお兄さん…

古豪対名門の決着|リミット50話

一塁からサインを出した仟(かしら)が初球から仕掛ける。 「走ったぁ!」 名京(めいきょう)内野陣が叫ぶ中、右バッターの影山(かげやま)はバントの構えを見せた。 だが、キャッチャーの国井(くにい)はスクイズを警戒していた。初球に選んだのは外のスライダー…

タイムリミッター国井の力|リミット49話

右バッターボックスに立った国井(くにい)の大きな構えは、まさに王者の貫禄。1年の夏から名門名京(めいきょう)高校のキャッチャーとして公式戦に出続け、すでに甲子園を三度経験している。 多くの修羅場に立ち向かったその自信が、体全体から溢れ出ているよ…

開かれた左目と決死の覚悟|リミット48話

打席に向かおうとする光(ひかり)が、ベンチに座る白城(しらき)の目の前で前髪をかき上げた。 「フッ、ところで白城(しらき)。僕は八番で君は二番。このまま行けば、ツーアウトランナー僕で君に回る。逆転するなら、君は僕を華麗にホームへ帰せばいい。それで…

春選抜ベスト4!竹橋刃のリミット|リミット47話

「球審、キャッチャー交代します。国井(くにい)です」 国井はそのままマウンドへ行き、三塁の西島(せいとう)ベンチへ球審が走る。 「名京(めいきょう)高校キャッチャー代わります……」 「国井だね!」 嬉しすぎて我慢できなかった一奥(いちおく)は、球審より…

名京高校、藤井という名の野球|リミット46話

「くっそー、後1本が出ねーな」「でも、先輩たちまた追いついて同点だよ?一奥(いちおく)ん」 悔しがる一奥(いちおく)と、それを笑顔でなだめる要(かなめ)。その会話を聞いていた仟(かしら)は、ジッとスコアボードを見つめていた。 「遠矢(とうや)さん……」…

個性豊かな2年メンバー|リミット45話

ちょっと待て!遠矢』「あ?」「ん?」 一奥と杉浦が同時に声を出した。 「え?僕何か変な事を言ったかな?」「なぁ遠矢。気持ちはわかるけどさ……監督を怒らせたら、帰りのバスは命懸けだぞ?」 「そうなの?一奥」「あ、そうか。遠矢は寝てたな……」 その間…

選抜ベスト4の元エース|リミット44話

「なぁ白城(しらき)。監督の運転大丈夫なのかよ……」「大丈夫な訳ねぇだろ?昨日大型免許取ったんだぞ。……ったく、最近グラウンドに顔出さねぇと思ったら、こんな事してたんだな」 バスの一番後ろの真ん中に座る一奥(いちおく)と、その窓際を眺めながら座る白…

開かれた2つの翼|リミット43話

一奥(いちおく)は川石(かわいし)高校の監督の横に座り、その後ろに白城(しらき)と仟(かしら)が座った。一奥の目に、川石高校の監督は三十歳位に見えた。 「ねぇ監督さん」「なにかな?」 「名京(めいきょう)高校って、やっぱり強い?」「そりゃ強いさ。川石(…

リズムリミッターの封印|リミット42話

(本番……?) 仟(かしら)は小首をかしげ、考えている間に一奥(いちおく)はスタスタと三塁ベンチ上へ歩いていった。 すると一奥(いちおく)の目に、クールダウンの為に軽くキャッチボールをする幸崎(こうさき)が映る。 「どうもー。いい試合だったぜ?リズムリミ…

リミッターとストッパー|リミット41話

驚いた一奥(いちおく)だが、すぐに首をかしげた。 「で?白城(しらき)。操り人形って事は……どうなるんだ?」 白城(しらき)は頭を抱え、仟(かしら)は苦笑いをした。 「お前なぁ……。それなら意味もわからず驚くなよ」「だってさー、何となくスゲェって事はわか…